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地球のはなし  別府温泉地球博物館 代表・館長 由佐悠紀

2023.4.26

No.84「ドニエプルの青粉」

 小学校の高学年から中学にかけて、夏休みの宿題などで、地図をずいぶん描いた。日本の平野であったり、世界の国々であったりしたが、その中には必ず河川を入れた。それが無いと、なんだか間が抜けているような気がしたからである。ドニエプルという川の名は、そうして覚えた。ウクライナの首都、緑豊かな美しい古都、キエフはその中流の河畔にある。
 大河なるものを見たかったし、川めぐりの観光船があると聞いてもいたので、旅行社の人にドニエプルに行きたいと言ったら、けげんな顔をされた。発音が全然違っていたのである。地元の人々はンニェプル(ニェを強調)と言っているように聞こえる。私たちはとてもまねできそうにない。
 この辺りでは、川幅はまだそう広くない。1キロメートル半ぐらいだろう。水量は多く、川幅いっぱいに満ちている。ただし、どっちに流れているのか、ちょっと見には分からない。黒海はあっちの方だと言うので、その方向かと想像するだけである。
 それで、観光船に乗った。時間表があるにはあるけれども、客が集まらなければ出航しないといういい加減さである。が、クルージングは快適だった。
 それにしても、水の色がいやに緑っぽい。富栄養湖でよく発生するアオコがただよっているのであった。「ドニエプルの汚染は大きな問題なのです」と、キエフ大学生であるガイドのお嬢さんがまゆをひそめた。


キエフ市郊外:1993年6月


ドニエプル河とキエフ市:1993年6月


ドニエプル河の船着場:1993年6月

ー1993.9 大分合同新聞 別府版ー

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