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地球のはなし  別府温泉地球博物館 代表・館長 由佐悠紀

No.11
「モンゴルの温泉」

 新しい火山活動がみられない中央アジアには、低温のものはともかく、高温の温泉は無いと私たちは思っていて、常識みたいですらあった。ところが、これは完全に情報不足のせいで、たとえば、中国青海省には90度を超える高温の温泉があるし、省の名の由来である青海湖の付近にも50度ぐらいの温泉があり、熱水という地名さえある。

 モンゴルもこの例に漏れない。私自身、つい半年前までは、温泉があるなどとは考えてもいなかった。ところが、この春、大分モンゴル親善協会から、モンゴルにも温泉があり、現地の人々がその有効利用を模索している、というお話があった。

 六月末、その温泉を視察させてもらった。目的の温泉は、首都ウランバートルの西南西およそ七百キロのバヤンホンゴル県にある。プロペラ双発機で約二時間、さらに車で二時間ほど、半乾燥の平原とそれに続く緩やかな山あいを抜け、谷間をさかのぼると、小川に沿って湯気の立ち昇る温泉地・シャルガルジュートがある。国内では保養地として有名で、湯治客でにぎわっていた。

 温泉は、花こう岩の割れ目などからわき出している。しかもガス泡を伴っていて、90度にも達しようという高温である。白湯のように特別の味は無く、さわると柔らかい感じがする。

 周辺に新しい火山は無いのに、何がこの高温とガスをもたらしているのか。興味深い温泉である。

シャルガルジュート温泉について詳しくお知りになりたい方は
  温泉科学 2001年9月 51巻2号
  「モンゴル・バヤンホンゴル州のシャルガルジュート温泉について」
をご覧ください。

  - 「大分合同新聞夕刊」  2000年8月 -


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