No.13
「子供たちの温泉科学」
この年末、すてきで心地よいことがあった。韓国・釜山の子供たちに、別府温泉の話をする機会があったのだ。
韓国には子供たちを募った海外ツアーがあって、その一行が九州を訪れたのである。朝鮮半島の地質はおおむね古く、新しい火山は無いから、温泉に乏しい。それで、ツアーの一部に、名高い別府温泉の見学が組み込まれた。
ここまでは、ごく普通の発想だろう。すてきだと思ったのは、そのツアーが、単なる温泉見物ではなく、その科学を学ぶことを重要な目的にしていたからである。
小学生から高校生までを含む幅広い年齢層の子供たちに、しかも通訳を介して話をするのはなかなか骨だったけれども、目を輝かせてメモを取る子もいたし、ものおじしないで質問する子もいて、大いに心地よかった。
昨年、別府青年会議所とケーブルテレビジョン別府の協力を得て、おそらく日本で最初の試みであったと思うのだが、小学生を対象に温泉セミナーをした。子供たちは楽しんだようだったし、温泉を通して地球をのぞくことの面白さに触れてもらったのではないかと、いささか自負している。
別府と韓国の子供たちと分かち合った二つの体験から、このような機会をもつことの意義深さを感じた。こうした試みの積み重ねが、多くの人々が警鐘を鳴らし続けている子供たちの理科離れに歯止めをかけ、さらに好転させる一つの道であろうと思っている。
※日本の子供たち(とりわけ別府の子供たち)に温泉が誕生するメカニズムを
知ってもらい、温泉文化を語れる大人に育ってほしいですね。
- 「大分合同新聞夕刊」 2001年1月 -
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