No.15
「自家用源泉」
年が明けてからテレビで、温泉の源泉数が多い都道府県を十位まで挙げるというクイズがあったそうだ。もちろん、大分県がダントツで一位である。
どのくらいダントツかというと、日本温泉協会発行の『温泉』二〇〇八年一月号によれば、大分県が五千余であるのに対し、二位は鹿児島県の二千八百余、次いで、二千二百台の静岡と北海道が続き、これ以下はずっと少なくなるといった具合である。
不思議なもので、同じような話題が続けて取り上げられることは、ままあることだ。一月の下旬、あるテレビ局から、温泉に関するクイズを出したい、ついては大分県の源泉数が抜きん出て多い理由を知りたい、という電話があった。
先ずは、大分県が位置する中部九州は温泉資源に恵まれていることを、日本列島の成り立ちや火山活動などと関連づけて、説明した。しかし、それだけなら、南九州も東北日本も似たようなものだ。違いはどこにあるのか。
実は、大分県の源泉には自家用のものが多いのである。大温泉地別府では、明治になってほどなく、人力のボーリングによる温泉開発が始まったのだが、その多くは個人的に行われ、組織による開発はまれであったようである。この別府方式が全県に広がった結果、小規模の自家用源泉が増えたものと思われる。
これを第二の理由として挙げたのだが、こうした温泉利用の形態は大変ユニークである。大分県独特の温泉文化とでも言えるのではなかろうか、どうであろう?
※大銀経済経営研究所の「おおいた温泉白書」によると
別府市の世帯の23.6%が自宅に温泉あり、個人宅への引き湯(5,888戸)、マンションの共同温泉(7,200戸)などで、町内の共同温泉や市営温泉以外でも温泉の恩恵に浴してる人が多いのに驚かされます。
- 「大分合同新聞夕刊」 2008年2月 -
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