博物館についてスケジュールカテゴリー別府温泉事典リンク集
HOME地球のはなし>ポンティングと鉄輪(2)

地球のはなし  別府温泉地球博物館 代表・館長 由佐悠紀

No.19
「ポンティングと鉄輪(2)」

 百年前ポンティングが鉄輪に来たかどうかを確かめたいと、7月27日のこの欄に書いた。その理由をもう一度記すと、彼の著書には鉄輪温泉の写真があるのに、本文にはその記事が無いからである。ただし、訳者あとがきに、原文の約半分を割愛したという意味の記述がある。その割愛された部分に、鉄輪や別府の記述があるかもしれない。

 原本の所在を調べようと、インターネットであちこちつついたら、神奈川大学図書館の横浜書庫に、貴重書として所蔵されていることが分かった。同図書館は一般にも公開されているとのこと。上京の機会に、アポイントも貰わないまま8月1日に図書館をお訪ねした。期末試験のため一般市民の利用は休止だったにもかかわらず、格別の便宜で原本を閲覧させていただいた。400ページ弱の大部である。

 ともかく阿蘇山の章を見ようと頁を繰ったら、一分もしない内に、別府と鉄輪を書いた頁にいきなり出会った。ポンティングは、九州の旅の終わりに、確かに別府と鉄輪に来た。

 本文には、前回紹介した入浴の写真の説明がある。浴槽の深さは、約15インチ(40センチほど)と浅い。男用と女用があるが、老いも若きも男も女も入れ混じって入浴し、世間話に興じている、とある。

 先日、鉄輪愛酎会の河野氏から、鉄輪の公衆温泉の古い写真を見せていただいた。浴槽の構造はポンティングのものとよく似ている(撮影も彼か?)。百年前は、浅い浴槽に寝転んで入浴する風習があったようである。

【ポンティング】
19世紀末から20世紀初め頃に活躍した英国出身の写真家
(詳細は、別府温泉事典「ポンティング」をご覧ください)

  - 「大分合同新聞夕刊」  2006年9月 -


ページTOP