No.56
ローマの休日
先だって、テレビで「ローマの休日」を観た。
私がこの映画を初めて観たのは、中学生のころだから、半世紀以上も昔になる。ほんのりと、さわやかな雰囲気が好きになって、長じてからも機会があれば映画館に通った。お気に入りの映画だ。
ヨーロッパの某小国の王女とアメリカ人記者がたまたま出会い、ローマを見物してまわるうちに、互いに魅かれあうようになるが、別れなければならない、というのが大まかな筋立てである。
こう書けば、たわいもないラブ・ストーリーみたいだが、今や伝説となったオードリー・ヘップバーンをはじめとする出演者たちの魅力もあって、最上質の映画になっている。
今回観たのは4、5年ぶりだったのだが、以前にも増して、素晴らしいと思った。
似たような感じは、名作と言われる映画の多くに共通するようで、たとえば「七人の侍」にもある。
あれこれ考えて、自己主張や利益追求ではなく、相手を尊重する思いやりの精神に立って作られているからではないかと、思い至った。
そんな映画を作った人々も、ほとんどが亡くなってしまった。近頃、これまでの世を支えてきた、多くの方々の訃報が目に付く。そうした中で、効率を第一とする考えが勢いを増している世の動きに、一抹の不安を覚えざるを得ない。
ローマの休日:http://paramount.nbcuni.co.jp/roman-holiday/story/index.htm
七人の侍:https://www.banger.jp/movie/36643/
ー2009年12月7日ー
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