No.57
動く大金山
このところ、九州ではちょっとした金ブームらしい。と言っても、数年前大変な社会問題となった、売り買いのことではなくて、探す方である。
霧島火山の近くの菱刈で金鉱脈が見つかったのが、火付け役になった。埋蔵量がどのくらいあるのかは知らないが、世界でも最高級のとてつもないほどに高品位なのだそうだ。
この鉱脈は、温泉水が作り出したと言われている。九州は火山と温泉の島である。ほかにもあるに違いないと、探してみたくなるのは当然である。
採鉱量が問題だが、名の通った金山でも総量せいぜい10トンとか数十トン、江戸時代ずっと金を掘り続けた佐渡でさえ百トンに満たなかったと聞いたことがある。100トンもあれば、超大金山なのだろう。
その100トン。体積は5m3、およそ1.7メートル立方である。すごいようでもあるし、意外に少量のようにも思える。
それより金額の方が分かりやすいかもしれない。およそ1グラム2,000円として、2,000億円。悔しいことに、これもまた、なんだかよく分からない。
先だって、コンピューター制御の対空ミサイルシステムを装備した最新鋭の護衛艦イージス艦をめぐる熱い受注合戦のことが報じられていた。1隻1,300億円もするとある。驚いた。イージス艦1隻は、ゆうにひとつの大金山に相当するのだ。
【参考】現在の金価格 約7,000円/g
ー1991年6月3日ー
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