No.63
オリンピックの風速計
2週間余り、ご多分にもれず、体に悪いとかなんとか言いながら、オリンピックの深夜放送を見続けた。たかがスポーツではないかと斜に構えようとしても、鍛え上げた選手たちの競技には引き込まれてしまう。躍動する彼ら彼女らの肉体の、なんと美しいこと。肉離れをおこしたり、アキレス腱を切ったり、転倒したり…一瞬のうちに襲いかかってくる不運。素直に感動し、また、同情した。純な気持ちが、まだ少しは残っているものとみえる。
選手たちの力量が接近してくると、判定の根拠を判然とさせるために、記録測定の精度の向上が要求されるのは当然だろう。それだけでなく、測定精度の向上は、人間の運動能力の進化を記録するという面からも、大いに意義のあることのように思われる。それにしても、いつの大会からだったか、100分の1秒までの測定が行われるようになって、それほどまでしなければならないのかと、あきれたものだった。
今度の大会でも、陸上競技のフィールドに超音波風速計があったのにはびっくりした。音の伝わる速さが風に影響されることを利用したもので、おなじみの風車や尾翼なんか付いていない。微妙にうつろう風の乱れを対象にする研究ならいざしらず、陸上競技には従来のもので十分ではないかと思ったりしたが、これもまた当たり前のことになってしまうのだろう。オリンピックは、計測に関する先端技術が集約される場でもあるらしい。
(このオリンピックは1992年のバルセロナ大会です。)
※超音波風速計の原理 https://prede.com/betu-tyou.html
-1992.8.17-
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