2022.2.26
No.70「台風19号」
9月26日と27日に、栃木県の那須を初めて訪ねた。台風19号が接近して上陸しそうだというのに、わざわざ出かけるばかもないものだが、スケジュールの都合で仕方なかったのだ。地上を走る鉄道なら間違いなかろうと思ったのも、あさはかであった。
27日の午後、東北新幹線の新白河駅を出て東京駅に着いたら、「広島-博多間は強風のため運転中止。博多方面の旅行は取り止めるように」とのアナウンスである。そう言われたって、簡単には従えない事情がいろいろとある。広島に着くころには台風も通り抜けているだろうとたかをくくっていたのだが、とうとう新大阪で運転取り止めになってしまった。しかし、これは天災であって、だれを恨むという筋合いのものではない。
ところが、あきれたことに、台風や列車運行の情報がほとんど入ってこないのである。夕方の7時から10時間以上も、列車の中で仮眠しながら、ただ待つだけであった。ようやく6時過ぎに博多行きの列車が出たのだが、九州内での状況に関する情報は「分かりません」以外には何もない。小倉に着いたら分かるだろうと期待していたら、これがまたさっぱり分からない。そうこうしながらも、別府まで帰ってくることができたのだから、さすがJRである。
この間、情報の欠如に困ったことは確かである。しかし、そんな状況でも、乗客は整然と行動し、いささかの混乱もなかったのはみごとであった。と同時に、情報とは? 情報社会とは? などと、柄にもないことを考えてみたくなった。
ー1991.10 大分合同新聞 別府版ー
★温泉マイスターnoteにも掲載しています
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