2022.4.26
No.72「国際化」
海外旅行を楽しみました、というような添え書きのある年賀状をいただくことが多くなった。
日本人が出かけるだけでなく、海外からの訪問者も急速に増えている。どこに行っても、異邦人らしい旅行者と出会うことからも分かる。
この暮には、大阪発東京行きの夜行列車・急行銀河で、一人旅をしているオーストラリアからの若い女性を見かけた。人びとの国際交流が、肩ひじ張ったものでなくなりつつあるのは、たしかなようである。
国際化を推進しようとする国の方針からすれば、この風潮は望ましいはずである。にもかかわらず、いわゆる不法労働者をはじめとする騒動が起こるのはなぜか。報道によれば、日本の社会はそうした人びとを受け入れたがっているように見えるのに、である。
私たちの研究所には外国人客員研究員のポストがあって、いろんな国からの着任をお願いしている。
ところが、その入国はかならずしも容易ではない。かなり厳しい審査をしたうえで招へいを決定しているのに、入国ビザの交付には、別の煩雑な手続きが要る。
何度かの経験から得た私の疑問はこうである。わが国の法体系は、国際交流の発展を阻害するようにできているのではないか。
国際化に関する高踏的な議論も結構だが、それよりもまず、入国手続きの簡略化が必要なのではないか。
ー1992.1 大分合同新聞 別府版ー
★温泉マイスターnoteにも掲載しています
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