2022.11.26
No.79「休肝日」
今年の6月はひどかった。第1週こそ机に向かうことができ、気に掛かっていた論文の手直しをしたりして、やや落ち着いた気分になっていたのに、第2週に入ったとたん出ずっぱりに近い状態になってしまったのだ。夜行列車で眠ったり、駅弁ばかりを食べたりしていたら、発熱した。
寝るのが一番であるのは分かっていても、約束ごとがあるものだから、そうするわけにもいかない。注射と薬でごまかしていたのだが、とうとう寝込む羽目になった。
おかげでビールを飲む気にもなれず、10年ぶりくらいで、無酒の日になったのは望外の効果である。家人に注意されるまでもなく、たまには休肝日を持ちたいと思ってはいるのだ。
前回の休肝日は南極のテントでだった。ただし自主的にそうしたのではないのが情けないところで、悪天候のために1週間ほど補給が途絶えて、アルコール類が底をついたにすぎない。
だからといって別段つらかったわけではなく、禁酒や節酒なんぞ簡単なことだと思った記憶がある。
ついでに言うと、野外調査中はあまり酒を飲む気にはならないものである。もちろん、夕食前のビールの1缶、就寝前のウイスキーの1杯は否定しない。リフレッシュに大いに役立つ。
体調は依然よいとは言えない。これを気に肝臓をいたわってやろうかと思ったりしているが、果たして首尾よくいくかどうか。
ー1992.7 大分合同新聞 別府版ー
★温泉マイスターnoteにも掲載しています
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