第16回川棚温泉「旅館 小天狗」
~適温湧出の稀な放射能泉~
シニアマイスター 明石 淳一
山口県にある川棚温泉は、古くから関門の奥座敷として親しまれています。漂泊の俳人種田山頭火も、のどかな雰囲気と湯を心から愛し、日記に「川棚温泉は山裾に丘陵をめぐらせて、私のもっとも好きな風景である。」と記しています。史料では寿永2年(1183)開湯800年の歴史ある温泉地です。ゆでた茶そばを熱した瓦の上で焼いた「瓦そば」は、川棚温泉の名物料理です。
お勧めする「旅館 小天狗」は、創業が昭和4年で80年続く老舗旅館です。室町時代から続くと言われる温泉を、加温・加水・循環無しの「かけ流しの湯」を贅沢に感じることができます。泉質は、源泉温度43.6℃、成分総計1,782.3mgの含弱放射能-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉です。
温泉1kg中にラドンを30×10-10キュリー(8.25マッヘ単位)以上含有するものを放射能泉(50マッヘ単位未満を弱放射能泉)と言います。源泉「小天狗泉」にはラドンを32.8×10-10キュリー含んでいます。空気に触れることで成分が失われやすい放射能泉が、源泉井から湯船に掛け流されています。
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