第29回別府温泉「とんぼの湯」~別府湾と青空を臨む温泉施設~
温泉マイスター 赤野和久
今回は温泉マイスター赤野が湯のまち別府の別府八湯の中で亀川温泉エリアに位置する温泉施設「とんぼの湯」をご紹介します。
まずはじめに自己紹介させていただくと、別府市内の指定された温泉88ヶ所をめぐる温泉名人の称号がもらえる別府八湯温泉道。この温泉道を車いす利用者が巡る車いす温泉道に携わる仕事を僕はしています。
そのため、日頃から湯めぐりをする際には、車いすユーザーの目線で温泉と向き合うことが多くあり、たとえば一口に障がい者といってもそれぞれで障害の種別、身体の大きさも違い多様な視点から温泉を見るようになりました。一般的には温泉は障がい者として縁遠いものがあり、湯船までには段差や階段、狭い通路などさまざまなバリアが見受けられます。
一般的にはこのようなバリアをバリアフリー化するのが手っ取り早いと考えられますが、やはり温泉の情緒や個性を薄めてしまうことになってしまいます。そこで、僕たちはバリアとなるそのような障壁を介助者が車いす、時には身体を抱えて、バリアを乗り越えていきます。ハードはハートで越えていくという心構えのもと別府のまちだからこそ誰でも温泉は身近なものとして気軽に浸かれるものであって欲しい。その思いで、僕たちは車いす温泉道に携わっており、大きな役割だと思っています。湯船に湧きあがる温泉に車いす利用者が健常者と同じように浸かり、気持ち良さそうな表情を浮かべる瞬間を見るとこちらも最高の達成感と喜びを感じさせてくれます。
前置きが長くなりますが、こちらのお湯の特徴は細かい茶色の湯の花が漂っているがほぼ無色透明であり、泉温は72°Cと高いが投入量で調整しており加水なし。そして、なんといってもここのお湯で1番のポイントはメタケイ酸が343mgと美肌成分がかなり高いところです。浴室は岩風呂風で奥側には大きな窓があり、そこから別府湾など高台からの景色を楽しむこともできます。肌に優しい浴感と景色にしばらくゆったりとお湯につかりたくなります。
ちなみにこちらの温泉周辺の住宅は温泉引湯権利付の土地になっており、10本の源泉エリアごとにあり、自分の家で湯を楽しめるという事でまさにスパランド豊海という名前の通りに、温泉好きには自分だけの温泉を持つ事の出来る魅力的な場所にもなっています。
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