第72回 堀川温泉
e-温泉マイスター 堀川有
場所は茨城県高萩市にある「堀川温泉」です。父から形見として譲り受けました。
父は高萩炭鉱に勤めていて廃坑になってから自費で高萩市内に温泉を掘削しました。ここは二本の源泉があり「ナトリウム硫酸塩泉」と「硫黄泉」になります。現在では別会社で民泊として営業しております。
「ナトリウム硫酸塩泉」は泉温32度、湧出量150L/分自噴です。
特徴は岩盤から湧出する古い年代の温泉水となります。現在福島県内で処理水の放流に関しトリチウム測定を行われていますが、広島、長崎に原発が落とされて以降、世界中の海水や地表水にトリチウムが含まれるようになってしまいました。しかしながらここの温泉にはトリチウムが含まれていないことから環境省でトリチウム測定のバックグランド水として認定され今では20数社が毎年採水にきております。民泊ではこのような贅沢な温泉をかけ流しとして、加温浴と源泉浴という二つの浴槽を用いて営業しております。
一部は温泉スタンドを設けドーミーイン水戸店にタンクローリーで毎日運んでいます。ドーミーイン水戸店では衛生管理のため塩素消毒を用いて利用していますが、源泉地の民泊では未消毒かけ流しで利用しています。入浴するとそのお湯の柔らかさが全く違うことが判ります。未消毒利用ではお湯が柔らかく、怪我や傷、やけどなど早く治す効果があります。おそらく要因としては源泉の持つ還元性や温泉成分に寄るものと理解しております。
「硫黄泉」は泉温20度、湧出量3000L/分自噴です。源泉地に到着すると草津温泉と同じように硫黄の匂いがします。源泉の色は無色透明ですが放置すると二日後に白濁のピークを迎えます。この白濁は硫黄が酸化したものも含まれますが実際には源泉地に存在する微生物によるバイオフィルムと考えられます。これはすべての温泉地に共通で湯の花=バイオフィルムと考えられます。ただしこのバイオフィルムがすべてレジオネラ属菌に直結するわけではないことを申し加えます。少なくとも酸性泉や60度以上の源泉、還元状態で生成されるバイオフィルムにはレジオネラ属菌の存在は考えにくいです。ここの源泉は温度が低い、pHが中性ということもあり現在では農業用水として利用されています。但し近年サウナブームということもありサウナに伴う冷水としての利用を検討中です。また毎分3000Lという自噴量を活用しマイクロ水力発電が可能か否かの検討を行っています。
写真入りの記事は下記のURLをご覧下さい。 https://note.com/onsen_meister/n/nd53d4104cd43?magazine_key=m1d6deb09487a
※これまでの「温泉マイスターおすすめの温泉」は下記のURlをご覧下さい。
https://note.com/onsen_meister/m/m4bd80cee2914
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