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別府温泉辞典

あ か さ た な は ま や ら わ

硫酸イオン

りゅうさんいおん

 水溶液中の硫酸(H2SO4)は、2段階に電離し、強い酸性を呈します。

H2SO4  ⇌ H + HSO4
HSO4 ⇌ H + SO42-

 生じた水素イオンの相手方の陰イオンのうち、第1段階の電離で生じた「HSO4」を硫酸水素イオンと言います。イオン1個が1個のマイナス電荷を帯びています。第2段階の電離による「SO42-」が硫酸イオンで、イオン1個が2個のマイナス電荷を帯びています。

 溶液中のHSO4とSO42-の割合は、濃度が高いときはHSO4が多く、濃度が低くなってからSO42-がほぼ全体を占めるようになります。
 別府温泉の熱源域である伽藍岳(別名:硫黄岳)の山頂近くには、強酸性の温泉として有名な「塚原温泉」がありますが、HSO4濃度がかなり高く、ときにはSO42-を超えることもあります。

 硫酸酸性の温泉水が岩石と接触すれば、岩石から金属を溶かしだして中和され、硫酸塩泉になります。金属がカルシウム(Ca)のときの泉質は「カルシウム-硫酸塩泉」ですが、あたかも石膏を溶かしたようにみえるので、旧称では「石膏泉」と呼ばれました。
執筆者由佐悠紀)