「スケール」と言えば、目盛の付いた定規や秤、物事や人物の規模・大きさなどを思い浮かべますが、もうひとつ、魚の鱗あるいは鱗状の物という意味があります。転じて、硬水(カルシウムイオンやマグネシウムイオンを多量に含む水)を沸かすと薬缶などの内側に付着する湯垢も、スケールと呼ばれます。
ボイラーの場合は、内壁にスケール(缶石)が付着すると熱効率が悪くなり、ボイラーの寿命が短くなるので、厄介者として嫌われています。温泉の場合には、揚湯管や送湯管を閉塞する温泉沈殿物を、厄介者の意味を込めて「スケール」と呼んでいます。地熱発電所や温泉施設では、スケール対策が大きな問題になっています。
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写真は、沸騰泉の送湯管に沈積した珪華(シリカ)質スケールです。スケールの厚さは約15mm、内径50mmの鉄管が閉塞されんばかりになっています。このようになるまでに要した年数は不明ですが、スケールの縞模様から、この間に温泉水の溶存成分が変化したことがうかがわれます。
( 由佐悠紀)
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