温度
おんど
温度とは、「あたたかさ」・「つめたさ」の度合を数値として表した尺度です。温泉では、最も重要な尺度のひとつですから、その表現法(温度目盛)の概要を記しておきます。
(1) セルシウス温度:セ氏温度:摂氏(せっし)温度:[単位記号 ℃]
私たちが日常生活で使っている温度で、「純水の氷点(凍る温度)を0℃とし、沸点(沸騰する温度)を100℃として、その間を100等分した」ものです。1742年に原形を提唱したスウェーデンの天文学者セルシウス(1701-1744)にちなんで、この名がつけられました。
日本では摂氏温度が定着していますが、かつては「華氏(かし)温度:ファーレンハイト温度:[単位記号 ゜F]」も使われていました。現在も、一部の国では、摂氏温度とともに、華氏温度も使われています。
(華氏温度については、外部リンク「ウィキペディア」などを参照してください。)
(2) 絶対温度:ケルビン温度:熱力学温度:[単位記号K]
熱運動(分子の運動など)の全ては絶対零度と呼ばれる温度で停止し、それより低い温度はありません。この絶対零度を基準とした温度を「絶対温度」と言います。その温度目盛の幅をセルシウス温度と同じにすれば、絶対零度(0 K)は「-273.15℃」に当り、2つの温度の数値の間の関係は「絶対温度=セルシウス温度+273.15」となります。
絶対温度の概念は、熱機関の熱力学的考察に基づいていますので、「熱力学温度」とも言います。付けられた単位記号K(ケルビン)は、この概念を導いたイギリスのケルビン卿[本名:ウィリアム・トムソン(1824-1907)]にちなんでいます。絶対温度もまた、「ケルビン温度」と呼ばれることがあります。
単位Kは国際単位系(SI単位)の基本単位になっており、科学論文での温度単位は、Kとすることが推奨されています。しかし現在は、セルシウス温度(℃)も、「Kで表した絶対温度から273.15を差し引いた単位」と定義しなおされて、広く使われています。
ケルビン卿の地球の年齢に関する先駆的研究
1862年、ウィリアム・トムソン(後のケルビン卿)は、地球の数理的な熱モデルを作って、完全に溶融した地球が現在の状態まで冷却する時間を計算し、長くても4億年程度と推定しました。これは地球の年齢に関する先駆的な研究ですが、いかにも短過ぎます。地質学者は、堆積岩や堆積層の形成過程の観点から、トムソンの推定を批判しました。ダーウィンも、生物の進化の観点から短いと考え、未知の要因が存在するのではないかと、疑問を呈したと言われています。
このモデルの欠陥は、放射性元素の崩壊による発熱の項が無いことです。放射能や放射性元素の存在は、19世紀の末、アンリ・ベクレルやキュリー夫妻による発見まで待たねばなりませんでした。
現在、地球の年齢は約46億年と見積もられています。その手法は、ケルビン卿が地球モデルを考えた時には知られていなかった、放射性元素を利用したものです。
(
由佐悠紀)