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![]() 図 別府および九重地域における天水の酸素と水素の安定同位体比 |
図には、天水線とともに、別府および九重地域の天水の酸素と水素の同位体比の測定結果の一部を示しました。両同位体比の間には明瞭な直線関係が認められ、しかも、各測定値は天水線に沿って分布しています。図中には参考のため、中国雲南省の温泉地・騰冲の水道水のデータ、および、最近得られた姫島の雨水のデータも記してあります。また、モンゴル・ウランバートルの水道水の値として、δ18O=-14.26‰)、δD=-105.9‰が報告されています。これも、天水線の近傍に分布していることを確かめてみて下さい。
天水線が公表された後、世界各地の天水について、膨大な量の同位体比のデータが収集されました。その結果、定数項の値は地域的・時間的に変動すること、および、同位体比の地理的分布には、次のような3つの特徴のあることが分かりました。
①同位体比は標高の高い所ほど小さい(高度効果)。
②同位体比は高緯度ほど小さい(緯度効果)。
③同位体比は海岸から離れた所ほど小さい(内陸効果)。
温泉についても、その水の起源の解明を目指して、膨大な量の同位体比が測定・蓄積され、今もなお、分析が行われています。これまでに得られたデータは天水線の近傍に分布するものが多いことから、温泉水のほとんどは天水起源の水と解釈されるようになりました。別府の温泉水も、そのように解釈されていますが、これについては別項「別府温泉の安定同位体」で紹介します。
一方、たとえば、九重硫黄山の火山ガス中の水蒸気のように、天水線から外れた同位体比も存在します。同種の水は、世界中の沈み込み帯の安山岩質の溶岩に伴う火山ガス中から検出されています。図中に描かれている安山岩水は、それらの同位体比の範囲を示しています。